西洋占星術の歴史

占星術の世界

「占星術は5000年の歴史を持った心理学である。」
スイスの精神医であり、フロイト、アドラーと並ぶ「三大心理学者」のひとり、ガール・グフタス・ユングの残した言葉です。

5000年以上もわたしたち人類と共にある「占星術の世界」を、ほんの少しのぞいてみましょう。

占星術の歴史

現在西暦2023年なので、5000年前は紀元前の世界です。
占星術の起源はとてつもなく古いため、詳細ははっきりと解明されていないと言われています。

ここでは結月が調べた書籍や学んだ範囲での見解になるということをご了承願います。

占星術の基本的な考え方

占星術は「星占い」として親しまれていますが、アストロロジイ(astrology)を訳した用語です。

アストロ(astro)=星・天体
ロジイ(logy)=学問

直訳すれば「天体学」ですが、「天文学」と紛らわしくなるために「占星学」と呼ばれるようになりました。

天体の運行と、地上の営みや人間の心の動きとの関連を追究していく学問として発展してきたものです。


占星術の理念として有名な「コレスポンデンス(照応)の法則」にも、
マクロコスモスとミクロコスモスの関連性が記されています。

上なるもののごとく、下なるものはあり
内なるもののごとく、外なるものはあり
宇宙のごとく、魂はあり

古代より知恵のある人々は、夜空を見上げて「星の動きと地上の営みに何かしらの関連性がある」ことを感じながら、星を取り入れて暮らしてきたのです。

占星術の起源

占星術の発祥地は、チグリス・ユーフラテス二大河流域に広がるメソポタミア地方(現イラクの一部)と言われています。(シュメール文明)
ただし、その起源は古く正確なことはわかっていないそうです。

少なくとも紀元前2000年頃のバビロニアでは「黄道12宮」が普及していたと言われていますから、いずれにせよ相当古くから占星術の考えが継承されていることがわかります。

古代バビロニア帝国で天文観測に従事していたのは、「カルデア人」という哲学者の集団だったそうです。一説にはバビロニア人よりも古く、知的水準もはるかに高かったと言われています。
特に天文学と数学を熟知していたようで、「神聖科学の管理人」と呼ばれ天体観測に貢献していたそうです。

カルデア人が残した偉業として特に有名なものに「黄道12宮」を設定したことがあります。
月の平均速度を定め、朔望月が29日12時間44分毎に起こることも算出していたというから驚きです。

「黄道12宮」とは、
見かけの太陽の通り道(地上から見える太陽の動き)である黄道上にある12の星座を指す。

古代のアラビア・バビロニア・インドなどの人々は、星に神秘的な力を付託して崇拝していた。
(星辰崇拝)
そのため88ある星座の中でも「見かけの太陽の通り道(黄道)」にある12の星座を「特別なもの」とする黄道12宮が生まれた。(牡羊座〜魚座の12星座)

このような歴史からも占星術を生み出したであろう古代の先人たちへの畏敬の念と、占星術の叡智を生きているうちに少しでも学んで感じてみたいという探究心がそそられます。

参考書籍
「占星学」新装版
著者:ルル・ラヴァ
出版社:実業之日本者
価格:2700円(税抜)

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占星術の暗黒時代

6000年近く私たちと共にあった占星術ですが、長い歴史の中で占星術は何度か弾圧され、暗い時代を余儀なくされました。

占星術が弾圧された背景には宗教的な要素、近代科学の発展など、複雑な背景が散りばめられています。
ここで詳細を語ると1冊の本ができるくらい長くなり、また私の理解が及ばない範疇となるため、占星術の歴史に関するおすすめの書籍をご紹介いたします。


おすすめ書籍
「世界史と西洋占星術」
著書:ニコラス・キャンピオン
監訳:鏡リュウジ
出版社:柏書房
価格:3800円(税抜)

こちらの書籍では5世紀から現代までの占星術の歴史が記されています。
書籍の内容から一部だけ取り上げるなら
占星術は5世紀に崩壊し、12世紀になって復活し、17世紀の終わりに再び崩壊を迎えた
と書かれています。(この後にもっと複雑な真相が書籍には書かれています)

とても興味深い内容が書かれていますので、ぜひお手に取って読んでみてください。

占星術の復興

占星術の復興にはイギリスの占星家「アラン・レオ」(現代占星術の父と呼ばれている)の功績があると言われていますが、今でもずっと占星術に関する議論が繰り広げられています。

科学と魔術、オカルト
宿命と天命、そして自由選択
自然占星術と判断占星術

占星術はまがいものと嘲笑されることもあるでしょう。
ですが、
このように幾度となく弾圧され暗黒の時代を経てもなお、人の心を魅了する占星術の世界に、
わたしはなんとも言えないエモーショナルな気持ちが掻き立てられるのです。

何よりも数千年もの長きに渡り人類と共にあるという真実が、
星と人の間には見えないけれどとても大切な何かがあるのだと
わたしが占星術に心奪われた理由のひとつです。

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